無差別級GP 2nd

前半5試合について。ナンバーシリーズの香りが漂いつつも、勝者が持ち味を発揮し、敗者が弱点を露呈した、いわゆる「勝負論」がしっかりと呈示されたと感じた。アリスターの敗戦は残念だったが、予想できた試合展開であった。本来の体重でないと思われるミドル級での試合であること、(恐らくは)急なオファーであったであろうこと等から、敗北は仕方なかったのではないか。足技の強化が目覚ましいという成果も見て取れた。今後はミドル級を忘れてヘビーに専念して欲しい。ホジェリオの安定感のある戦い方は、シウバにとって脅威だろうから、この二人の試合が実現すれば面白くなりそう。動きの少ない試合になりそうだが・・・。
中尾は格下相手に完勝してとりあえずの評価は得た。しかしこれからの展開は厳しそうだ。ネタキャラとしてもいまいち客も乗り切れてなかったような。
中村は”強そうな人”に一本勝ち。印象としては最高のはずだが、何故だか印象に残ってないのは、その後の試合と比べれば仕方ないのか。入場のパフォーマンスも「PRIDEはどうなるんだ」と言う不安を煽っただけだったように感じた。

後半4試合。

スタンドでは不利なヴェウドゥム、厳しい展開だったが、終了間際の寝技で柔術家の矜持を見せたか。ノゲイラに肩固めを決めかけ、一瞬だがバックを奪うような芸当は、PRIDEではヴェウドゥム以外不可能だろう。最近はミルコとは別々に練習していたと言う話。敗退したのだから、速やかにパートナーシップを復活し、切磋琢磨して欲しい。

  • シウバVS藤田

体格で劣るシウバが藤田を圧倒した。藤田のタフネス幻想を吹き飛ばし、シウバが日本人相手の連勝を伸ばした形だ。残念な結果だが、やはりシウバは「勝ち方」を知っている。藤田は腕十時を凌いだ時に負傷していたようだ。シウバの関節技にはまるあたり、やはりブランクがあったのか…。再起を期待したい。

  • ジョシュVSハント

予想通りだったが、トータルファイターのジョシュが完勝。ハントに対して鮮やかなテイクダウンから、アームロックを決めて見せた。こういう勝ち方が出来るファイターは強い。ハントは何もできず。ヒョードルに挑戦するまでにはまだ穴がありすぎるか。

  • 吉田VSミルコ

「左キックの対策はしてきたが、ローの対策はしてこなかった」と言うのはあまりにお粗末な言い訳。シウバ戦から、この男の弱点がローというのはわかっていて、それをミルコが突いて来ただけの話。自分の頬をぶったあとにローで倒れる様は、哀れと言うほかなかった。ミルコはモチベーションが上がりきっていないようだが、最後の4人を見れば、そんな状態で勝てるわけがないのは目に見えている。コールマンに何もさせず、アレキサンダーの圧力をかわしきった、あの頃のミルコを見たい。

  • その他・総評

演出面は明らかに弱体化。急造の製作チームということでよくやったほうだろうけど。あの煽り映像を見られなくなったのは明らかな損失。今後より洗練されることを期待。
高田から選手から皆がPRIDE愛を強調していたけど、ちょっとやりすぎだったような。
実況勢ももう少し勉強が必要か。吉岡美穂の起用は個人的にはアリだが、小池の半分でいいから勉強してきて欲しい。
思えば、今までのPRIDEは色々なものが噛み合って成立した、総合芸術のようなものだったのだろう。存在自体が奇跡だった。そしてそれは永久に失われてしまうのか、それはわからないが、とりあえず今は存在しない。PRIDEと名のつく別のものがあるだけだ。この現状にもそのうち慣れてしまうだろう。そのとき、「あの頃は面白かったのに」と思ってしまうのだろうか。