引越し

 何とか引越し完了した。

 距離にして3〜4km程度の移動なので、生活圏はほぼ変わらないものの、初めての引越しはそれ自体が貴重な体験であった。

 積極的な動機による引越しではなかった為か、引越し直前は自分でも驚くほどナーバスになっていた。使い慣れた家を後にすることや、新しい家での生活に不安を感じていたのだろう。しかし不思議なもので、新しい部屋に家具を配置する段になると、どう置こうかと思案しているうちに楽しい気分になってきて、以前の部屋のことなどどうでもよくなってきたのだった。
 生まれてずっと住んでいた家だけあって、捨てられない、捨てたくないものがたくさん家にはあった。全ては持っていけないので、処分するものと持っていくものを分けなければいけなくなった。基本的には、高校以前の持ち物で、自分で書き残したものか、親や担任が文章でやりとりしたもの、写真、手紙などはほとんど持ってきた。自分がどんな人間だったのか、どういう育ち方をして今の自分が在るのか、思い出せるものを少しでも残しておきたかったのである。
 実際、そういった品を整理している間、完全に忘れていた思い出を幾つも思い出した。また、小学校時代の連絡帳や、中学時代の連絡ノートを改めてみると、当時は気付かなかった周囲の人々の自分への評価や、どのように自分のことを気に掛けてくれていたかなどがよくわかる。引用は避けるが、少年時代の私はなかなかのひねくれ者だったようで、周囲をハラハラさせることは一度や二度ではなかったようだ。

 偉そうなことを書いたが、引越しがなければ、そのような思い出の品物は省みられず、押入に眠ったままになっていただろう。そう考えると、改めて自らを見つめ直す機会を与えてくれた今回の出来事に感謝したい気持ちになってくる。家という最も身近な存在の一つを失ったことを考えれば、やや複雑だが。

とりあえず今日はここまで。次は写真とかも混ぜつつつづく予定。